筋トレと食事のバランス
筋肉と食事摂取の関係
筋肉は、タンパク質でできており、タンパク質を含んだ食品が体に入ってから、さまざまな栄養素を介して筋肉となります。
食事を制限することでエネルギー不足に陥ると、筋肉量も減ってしまう可能性があります。
体がエネルギー源として筋肉内にあるアミノ酸を放出し、それによりタンパク質の分解が増え、その結果筋肉量が減少してしまいます。
それだけではなく、食事制限でエネルギーの摂取が減ることで、タンパク質の合成ももちろん減り、せっかくのトレーニングの成果が発揮できなくなってしまいます。
また、筋肉(骨格筋)は安静時でのエネルギー消費量が体の部位の中で総合的に最も多い組織のひとつで、筋肉が増えれば増えるほど、何もしていなくても必要なエネルギーが増加するということになります。
筋肉の肥大のために栄養素をバランスよく摂ろう
筋肉の肥大のためには、過不足なく栄養素を摂ることが重要です。そのためには、食卓を次の5つに分類して、まんべんなく摂ることが大切です。
- 1. 主食(からだを動かすエネルギー源:ご飯、パン、麺類)
- 2. 主菜(筋肉や骨、血液の材料となる:肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品)
- 3. 副菜(体調を整えたり、骨や血液の材料となる:野菜、いも、きのこ、海藻)
- 4. 牛乳・乳製品(骨や歯を形成する)
- 5. 果物(エネルギー源となる、疲労回復に役立つ)
これら5つがそろった「基本的な食事の形」になるように注意し、特に以下の栄養素を意識的に摂るようにしましょう。
炭水化物
主な特徴として、さまざま(瞬発的・持久的)なスポーツにおいてエネルギー源として大切な栄養素であり、消化吸収される「糖質」とされない「食物繊維」に分けられます。
不足すると、体内のタンパク質や脂肪を分解してエネルギーとして使われます。摂りすぎると、体脂肪として蓄積される可能性があります。
含まれる主な食品は、穀類では、ごはん・パン・麺類・もちなど、野菜類では、かぼちゃ・れんこん・とうもろこしなど、イモ類、果物などが挙げられます。
タンパク質
主な特徴として、筋肉・骨・血液など体を構成する主成分となる、酵素やホルモンなど体の機能を調整する成分になる、エネルギー源になるなどがあり、たくさんのアミノ酸で構成されています。
不足すると、筋肉がつきにくい、体力や免疫力の低下、貧血、成長障害(成長期の子どもの場合)などになる可能性があります。摂りすぎると体脂肪として蓄積される可能性があり、カルシウムの尿中排泄量が増加してカルシウムが不足しやすくなります。
また、筋肉づくりに有効に活用されるタンパク質は体重×1.2~1.8g程度(体重70kgの人は84g~126g)といわれており、過剰分はエネルギーとして使われたり脂肪として体内に蓄積されたりします。
出典:公益社団法人 日本体育協会、アスリートの食事・栄養
脂質
主な特徴は、細胞膜やホルモンの構成成分である、長時間の運動で効率のよいエネルギー源になる、脂溶性ビタミンの吸収を助けることが挙げられます。
不足すると、肌が乾燥しやすくなる、便が固くなり排泄しにくくなる、コレステロールの不足によりホルモンの低下につながり、摂りすぎると体脂肪として蓄積される可能性があります。
含まれる食品は様々ありますが、油脂類、肉・魚類、ナッツやごまなどの種実類に多く含まれます。
ビタミン
ビタミンは、体の調子を整えるのに欠かすことのできない栄養素です。ビタミンは13種類あり、体の中での働きは種類によって異なります。
必要な量は少ないのですが、人の体の中で作ることができなかったり、作られても量が十分ではなかったりするので、食べ物からと摂る必要があります。
ミネラル
多量ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン)、微量ミネラル(鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン)があります。
カルシウム、鉄、マグネシウムは不足しやすいので注意が必要です。
ミネラルは、体の中では合成されないので、毎日の食事から摂らなければなりません。
しかし、吸収されにくかったり、他の成分によって吸収を妨げられたりすることがあります。
また、体内に貯蔵できないものも多くあります。一方、ミネラルの吸収を助ける働きをするものもあり、カルシウムやリンはビタミンDによって、鉄はビタミンCによって吸収が高められます。
具体的な食事メニュー
筋肉の肥大のためには、肉類・魚介類・卵・大豆製品・乳製品といったタンパク質を1日3食で十分な量を摂ることが必須となります。
タンパク質 | メニュー例 |
---|---|
牛肉 | プルコギ、牛ヒレステーキ、野菜の牛肉巻き、肉じゃが、牛肉とごぼうの卵とじなど |
豚肉 | 豚肉のしょうが焼き、豚しゃぶサラダ、豚汁、回鍋肉、豚肉とキャベツの重ね蒸しなど |
鶏肉 | バンバンジー、蒸し鶏のねぎだれかけ、親子丼、タンドリーチキン、鶏肉のトマト煮込み、治部煮など |
魚介類 | 海鮮丼、魚の煮付け、焼き魚、クラムチャウダー、たらチリ鍋、しらすおろしなど |
大豆製品 | 湯豆腐、高野豆腐の煮物、五目煮、白和え、ポークビーンズ、納豆とねぎのオムレツなど |
乳製品 | 野菜のチーズ焼き、フルーツナッツ入りヨーグルト、トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼなど |
コンビニや外食時に手軽に食べられるもの
コンビニで手に入る低糖質高タンパク質のものを紹介します。
手軽に手に入るコンビニの食品は間食にうまく利用すると良いでしょう。
- サラダチキン
- 焼き鳥(タレより塩)
- ゆで卵
- プロセスチーズ
- 魚の缶詰
- 蒸し大豆
- ギリシャヨーグルト
- するめ
- 豆乳
- スモークチキン
- 焼きちくわ(でんぷん不使用のものがあればなお良い)
食事を摂る理想的なタイミング
食事を摂るタイミングは筋肉をつけるために、気をつけるべきことのうちのひとつです。
なぜなら、食事を摂るタイミングによって、筋肉合成や脂肪燃焼、トレーニングのパフォーマンスなどにおいて、成果が左右されるからです。
食事をとらずに空腹状態での練習は好ましくありません。「空腹で練習しない」「トレーニング後速やかに栄養補給する」ことが重要です。
トレーニング前にはグリコーゲンの原料である炭水化物を、トレーニング後は、すみやかに炭水化物とタンパク質をとるようにしましょう。
トレーニング後の補食はその後の食事に支障をきたさないようにしましょう。そのために、基本的にトレーニング開始前は2~3時間前(自分の胃の中のものが消化される時間をわかっておくと良い)、トレーニング終了後にはなるべく早くに食事(補食)がとれるようにスケジュールを組み立てましょう。
筋トレ前後の食事
筋トレ前の食事は、筋トレを開始する2時間前を目安に済ませるようにしておきましょう。
基本的に、タンパク質、ビタミン・ミネラル、食物繊維、脂質の揃った食事をします。
炭水化物は抜かずに適量をとり、筋トレで力を十分に発揮するのに必要なエネルギーを補給しておきましょう。
必要な栄養素は不足なく揃えるのが基本ですが、その後に激しく体を動かすため、食事メニューはできるだけ消化に負担のないものにしておくことが重要です。
また、消化を促すためによく噛んで食べることも重要です。
筋トレ後の食事は、2回に分けて摂ることがおすすめです。
まず、筋トレ終了からだいたい30分以内を目安に、タンパク質を摂り、筋トレで傷ついた筋肉に素早くタンパク質を補給しましょう。ドリンクなどを利用するのも良いでしょう。もし、疲労が激しい場合はフルーツなどの糖質をプラスすることをおすすめします。
その後、炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維・脂質の揃ったバランスの良い定食スタイルでの食事を摂り、体に必要な栄養をしっかりと摂るようにします。
サプリメントも活用しよう
トレーニング中やトレーニング直後の栄養補給にすぐに食事が摂れない場合などは、サプリメントをうまく活用していきましょう。
バランスの良い食事で体を大きくしよう
このように、普段はバランスの良い食事を意識し、筋トレ前後などでは栄養摂取のタイミングにも注意することで、筋トレの効果を最大限にいかしていきましょう。