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ストレッチを自宅で簡単に

活動的な気分が高まる春。手軽に身体を動かしたい! と考えている人も多いのでは? そこでおすすめするのが「ストレッチ」。特別な道具も場所もウェアも必要なし。思い立ったらいつでもどこでもできるストレッチは“最も身近で手軽な運動”です。無意識のうちに凝り固まっていた筋肉を気持ちよく伸ばしてあげれば、心身へのプラス効果は想像以上!
今回は「Dr.ストレッチ」からストレッチトレーナーの中村竜太さんをお迎えして、今すぐできるセルフストレッチを特別にレクチャーいただきました。

筋肉の緊張を解けば
心身ともにスッキリ!

ストレッチに関する気になるあれこれを教えてくれたのは、ストレッチトレーナーの中村竜太さん。プロのアスリートやモデルなど著名人のパーソナルトレーナーとしても活躍。

まず「ストレッチ」とは、そもそもどのようなものなのでしょう。マッサージとは違う、運動の一種なんですよね…?

マッサージは手などで筋肉を揉んでほぐすものですが、ストレッチは身体を動かすことで筋肉を伸ばしたり縮めたりする、関節可動域を広く使うための運動なんです。

昔はストレッチというと、運動前の準備体操というイメージもありましたが…。

確かに、運動前のウォームアップにも効果的ですが、運動後のクールダウンにも同じぐらい効果があります。運動前にしっかりと筋肉を伸ばして柔軟性を上げておくと怪我もしにくいですし、身体の可動域が広がるので運動能力も自ずと高まる。運動後も、ストレッチをすることで疲労回復が速まるし、リラクゼーション効果も。アスリートにはケアやコンディショニングの面でストレッチは不可欠ですが、一般の方も同じで、ストレッチをした翌日は疲れの度合いが違うのを実感できるはずです。

普段とくに運動をしていない人でもストレッチの効果はあるのでしょうか?

もちろんです。例えば通勤中は満員電車で立ちっぱなしだったり、会社ではデスクワークで長時間おなじ姿勢でパソコンに向かっていたり…。日常生活において、無意識のうちにいろんな筋肉が緊張して凝り固まっています。その緊張をストレッチで解いてあげることで血管が拡張され血行がよくなるので、疲れがとれるだけでなく、足のむくみや肩こりといったトラブルも解消されます。さらにストレッチには“休息の神経”と言われる副交感神経を優位にする働きがあるので、心が落ち着いてリラックスできるだけでなく、寝付きや睡眠の質もぐっとよくなるんですよ。

中村さん自身、アスリートのフィットネストレーナーをしていた時代に、トレーニングの効果をあげるためストレッチに着目、その魅力に開眼したそう。

身体を動かすのが苦手な人こそ
ストレッチの効果が実感できる

心身共にいいことだらけですね。

ストレッチは年齢や性別、運動経験の有無に関係なく、気軽にトライできる体質改善でもあります。スポーツに比べて身体への負担も少ないし、実践して悪いことはひとつもないと思いますよ。最近は、従業員の健康維持や増進を高めることで会社の生産性を上げようという“健康経営”の一貫として、ストレッチを福利厚生に取り入れたいという企業様からの相談も増えています。健康を意識しやすい環境づくりとして、ストレッチへの注目は高まっていると思います。

身体が固くても大丈夫でしょうか?

身体が固かったり、運動に苦手意識がある方ほどやっていただきたいです。実は、生まれつき身体が固い人はいなくて、柔軟性は体質ではなく、筋肉を使わない生活習慣が招くもの。加齢もほとんど関係ありません。よく、普段は仕事で忙しいお父さんが子供と遊んで肉離れを起こしたとか、ぎっくり腰になったということを聞きますが、それは固いゴムをいきなり伸ばしたから切れるようなもの。日頃から身体を柔らかくしておくと怪我もしにくいし、久しぶりに運動をしても筋肉痛になることもありません。いまはまだ腰痛などのトラブルを抱えていない方も、予防療法として普段から軽くでもストレッチをやっておくといいですよ。

スキマ時間でできる
お手軽ストレッチにLet’s try!

それでは実際に、中村さん監修のストレッチを紹介!
マットなど特別な道具は必要ナシ。場所は、お尻が沈まない程度に硬い床や椅子などで、もし硬さが気になるようならタオルを敷けばOK。ストレッチ時間は、1つの体勢につき20秒~1分ほど。反動は使わず、伸ばした状態でしっかり体勢をキープすることが大事。呼吸は、最初は自然で大丈夫。呼吸が止まると力んでしまうので、止まらないように意識して。慣れてきたら吐きながらゆっくり伸ばし、一度深呼吸を入れたら、さらに吐きながら戻していくといいのだそう。

普段の生活のスキマ時間でできるメニューを、5つのシチュエーション&目的別にチェックして、いざトライ!

ストレッチ① 立ったままOK!接客の第一印象をワンランクアップする
「猫背解消ストレッチ」

何かに没頭していると、ついつい猫背になって腕が肩から前に行きがち。こちらは腕の上部の筋肉を伸ばすことで腕を正しい位置に戻し、姿勢を正すストレッチです。猫背が解消されると立ち姿や表情もいきいきとしてきて、接客の印象も確実にアップ。立ったままさりげなくできるので場所を選ばないし、椅子に座って実践しても効果があるので手軽なリフレッシュにも!

両手の手のひらを外側へ返して腰の後ろで指を組んだら、手を上へ少しずつ上げていきます。腕は無理に高い位置まで上げなくてもOK。肩をぐっと後方に張って胸を大きく開くように気持ちよく肩や腕を反らせながら伸びていくのがポイント。腕を上げた状態で20秒、余裕があれば1分キープ。
今度は、頭の後方で、左手で右の肘を持ちます。そして上体を左前方に倒したら、倒した状態をキープ。これも「姿勢筋」と呼ばれる背中の筋肉のストレッチ。二の腕を伸ばすだけでなく、上体を斜め前に倒すことで背中の大きい筋肉もしっかり伸びます。反対側も同様に。

ストレッチ② 休憩中に実践!疲れにくい身体と美脚を手に入れる
「下半身むくみ解消ストレッチ」

立ち仕事などで長時間同じ姿勢でいると、脚がむくんだり、だるさを引き起こして疲れやすい身体になります。解消するには、ふくらはぎやもも裏などの下半身だけでなく、股関節やお腹周りの筋肉も同時に伸ばして、心臓までの血流全体を良くしてあげることが大事。これで、むくみのスパンがぐっと短くなるのだとか。バックヤードや休憩時など、気づいた時にこまめに実践すると効果的。

椅子に座って両脚を軽く開き、左手の手のひらで右膝を固定するように押えて、そのまま右手をまっすぐ伸ばしながら右上半身を捻って後方に向けます。下半身から上半身にかけて、身体を両側から引っ張られるイメージで大きく開いて。反対側も同様に伸ばします。
次に、立ち上がって脚を骨盤ぐらいの幅に開き、上体をかがめて左肘を左膝に当てて押さえます。その後、右手の指先で左足のつま先を持ち、つま先を手前に寄せるように伸ばします。左脚の膝を曲げず、もも裏や膝裏をピンと張ってしっかりと伸ばすイメージで行うとより効果的。反対側も同様に。

ストレッチ③ 座りながらできる!首まわりの血流をよくして
「眼精疲労に効くストレッチ」

PCやスマホ作業は目を酷使する上、首周りの筋肉も常に硬直している状態になります。ストレッチで首周りの緊張をほぐすと、目に繋がる頭の血流が良くなるので眼精疲労も軽減されるし、頭もすっきり。頭痛予防にもなります。座りながら簡単にできるので、疲れを感じる前に習慣的に行うのがベスト。

椅子に座ってリラックス。正面を向いた状態で、右手を左の肋骨の下に当て、その反対側・右斜め上方向に顔を向けるように首を伸ばします。左手は身体の後ろの腰あたりに手のひらを当て、左肩の位置を固定するようにしっかり押えて、その対角線上に首を伸ばすイメージで。反対側も同様に伸ばします。
次は首の後ろ側のストレッチ。右手の指先を上頭部の左側に当てて、顔を右斜め下の方向へ向けていきます。右腕の重みを首で感じるようなイメージ。左肩が上がってしまうと首がちゃんと伸びないので、左手は身体の後ろで固定して、しっかり肩を下げておくのがポイント。反対側も同様に。

ストレッチ④ 通勤中の電車内でも!腕組みを装いつつ
「ちょい肩ストレッチ」

ごく控えめなポーズで、肩まわりを伸ばせるストレッチ。肩が硬直したり背中が丸まると、胸が閉じて呼吸が浅くなり、内臓も圧迫されます。毎日少しずつでも背中を伸ばして肩や背中の筋肉をゆるめておくと、肩こりも解消されて気分もスッキリ。重い荷物を片側で持つ習慣があるなど肩の位置がズレがちな人にもおすすめです。パッと見にはストレッチと気付かれない小さな動作なので、通勤電車など人目の多い場所でも、ぜひトライ!

身体を正面に向けて、右の手のひらを左脇の下に置きます。その後、左手を右肘にまわして、そのまま左手で右肘を左方向に引っ張っていくと、右肩まわりが気持ちよく伸びます。身体全体の向きはあくまで正面に固定したまま、肩・腕周りだけを動かして、しっかりと伸ばすのがコツ。反対側も同様に伸ばします。

ストレッチ⑤ 睡眠前のリラックス!疲れをとって熟睡を促す
「脱力ほぐしストレッチ」

睡眠前におすすめの、お尻と腰回りを伸ばすストレッチ。深い呼吸を入れながらおこなうことで“休息の神経”である副交感神経の働きも高まって、気持ちよくリラックスできます。血行も良くなるので足腰の疲れもリセット。力を入れずにゆるく伸ばすだけなのでベッドの上でもOK。毎晩続ければ寝付きの悪さも改善されやすくなります。

肩甲骨をしっかり床につけるイメージで、両手を開いて仰向けに寝転がります。次に両足を揃えた状態で曲げ、右に倒していきます。背中が浮く場合は無理に脚を地面に付けなくてOK。左側の腰回りの心地よい伸びを感じて。反対側も同様に。
今度は、寝転んだ状態から両脚を曲げて左向きに倒します。その後、左のかかとで右膝を上から押え、右脚の付け根の前や横の筋肉を伸ばします。ここの筋肉が弱ってくるとX脚になりやすいのだとか。身体が固い人は腰が浮いてくるので、上体を起こして実践してもOK。反対側も同様に伸ばします。

心身ともにリラックスして
気持ちいい伸びを感じよう

ストレッチ中、特に気をつけた方がいいポイントはありますか?

スポーツの前後に行うストレッチには筋肉に力を入れることを意識するものもありますが、今回は身体の緊張をほぐすことが目的なので、力を入れずにリラックスしてやること。痛気持ちいいと感じるぐらいまで伸ばしてあげるのが理想ですが、最初は無理せず、気持ちいいと感じるところまででOK。今どこが伸びているか、自分の身体に意識を向けながらおこなうことも大事ですね。

おすすめの回数やタイミングは?

1回に長い時間をかけるよりは、短くてもセット数を増やしたり、ストレッチをする頻度を上げる方が柔軟性が高まります。最初は1日1回、慣れてきたら2回といった具合で、とにかく続けることが大事。タイミングはライフスタイルに応じてで良いと思いますが、強いていえば朝一番は身体が固くなっているので避けて。夜寝る前はリラックス効果も高いのでおすすめです。

初日から効果を実感
続ければ姿勢や体型も変わる!?

中村さんのしなやかな筋肉と均整のとれたプロポーションは男女ともにお手本にしたくなる!

どれくらい続ければ効果が実感できますか?

リラックス面では、ストレッチを開始したその日から確実に効果が得られます。3ヵ月ほど定期的に続けていくと、筋肉の緊張がほぐれやすくなって、姿勢も目に見えて変わりますよ。
普段歩いたり、しゃがんだりといった動作の中で自然に使っている筋肉があるんですが、姿勢が悪いと、その筋肉が正しく使われないんです。たとえば猫背の方の場合、お尻やもも裏、お腹まわりの筋肉が正しく使われないので、血行不良に陥って体型も崩れてくる。逆に姿勢が正されると、日常的な動作の中で筋肉が正しく使われるようになるので、特別な運動をしなくても体型が変わってくる! ボディメイクやダイエットをされている方にもストレッチはおすすめです。

俄然やる気が出てきました!

やりはじめるとクセになって、どこでも無意識にストレッチするようになりますよ(笑)。効果以前に、ストレッチは単純に気持ちがいいので、ぜひ毎日の習慣に取り入れていただきたいですね。