肩関節の痛みの種類
肩関節の損傷と肩関節唇損傷・腱板断裂 – 肩の痛みの種類
中高年になると肩の痛みが起こりやすくなりますが、「五十肩だから自然に治る」と思いこむのはまだ早いかもしれませんよ。肩関節が損傷している可能性があるからです。加齢やスポーツなどで肩に負担がかかると、周辺組織が損傷し、痛みが起こる場合があります。ここでは、肩の痛みを引き起こす肩関節の損傷について解説します。
肩関節のしくみ
肩関節は、上腕骨(じょうわんこつ)の先端にある上腕骨頭(じょうわんこっとう)というボール状の部分と、肩甲骨の関節窩(かんせつか)と呼ばれるお皿の形をしたくぼみで成り立っています。小さなお皿に大きなボールがのっているのを想像してもらうとわかりやすいでしょう。ほかの関節に比べると不安定な構造なので、関節唇(かんせつしん)といわれる組織や、多くの筋肉や靱帯によって安定性を保っています。それらの組織が損傷を受けると、炎症を起こして、痛みが生じます。
肩関節の損傷による疾患
肩関節の損傷による疾患には、次のようなものがあります。
肩関節唇損傷
関節唇とは、関節のまわりに唇のように付着している軟骨で、肩関節の安定に不可欠な組織です。関節唇の上部はデリケートなバランスで結合しており、損傷を受けやすいところです。特に、野球の投球やテニスのサーブなどで肩を酷使した際に、この損傷が起こりやすいといわれています。関節唇には神経が存在しているため、損傷を受けると、肩を動かすスポーツや動作をするときに痛みが走ります。さらに、肩関節の安定性が欠けるため、脱臼をともなうこともあります。一度損傷した関節唇は自然回復が難しく、リハビリが必要です。
腱板断裂(けんばんだんれつ)
腱板とは、肩関節に安定をもたらす4つの筋肉である棘上筋(きょくじょうきん)・棘下筋(きょくかきん)・小円筋(しょうえんきん)・肩甲下筋(けんこうかきん)および腱の総称を指します。この腱板の働きがあるからこそ、肩関節を自由に動かせるのですが、日常生活のさまざまな動きによって肩関節を酷使すると、腱板が傷ついてスジが切れる場合があります。これが、腱板断裂です。主な症状としては、肩を動かしたときや夜寝ているときの痛みなどがあげられます。腱板断裂は中高年者に多くみられる疾患で、五十肩の症状とよく似ています。そのため、五十肩と思って放置していたら、腱板断裂だったというケースも少なくありません。気になる症状があったら、医療機関で正確な診断を受けることをおすすめします。
このように、肩関節は非常にデリケートな部位です。痛みを感じた際は、自己判断せずにまずは医療機関で診断を、という点を心に留めておきましょう。