産後の注意点
産後になるべく避けた方がいいこと
産後になるべく避けた方がいいことに関しては以下のことが考えられます。
- ・水を使う家事や仕事
- ・読書やスマホなどの目を酷使すること
- ・激しい運動・ダイエット
- ・長距離・長時間の外出
- ・喫煙
- ・飲酒
- ・カフェインの摂りすぎ
- ・産後1ヶ月検診前の性行為
水を使う家事や仕事
冷たい水に触れる家事や仕事は、身体の冷えにつながります。また、産後はホルモンバランスが変化し冷えやすい状態です。
冷たい水に長時間触れていると身体が冷えてしまい、血流が悪くなることで回復の遅れにつながります。
冷えは疲れや生理不順・頭痛や肩こりなど、さまざまな不調の元になるため、産後の女性は特に注意が必要です。
現代は昔とは違い、すぐに温かいお湯が使えます。
身体をできるだけ冷やさないためにも、冷たい水で手を洗う・洗い物をするなどを控え、体を温める生活を心がけましょう。
読書やスマホなどの目を酷使すること
産後は体力が戻りきっておらず疲れやすくなっているため、目を酷使することで身体の回復が遅れる可能性があります。
スマホやパソコンの発するブルーライトは、目への刺激や負担も大きく、知らずに目の疲労が蓄積している可能性も少なくありません。
また、育児への不安や安静時に時間を持て余すことで、産後はつい本やスマホで育児情報を調べてしまいがちです。
しかし、情報が増えすぎてしまうことも、新たな迷いや悩みの種になってしまいますので、時間を決めて使う・短時間にするなど工夫しましょう。
激しい運動・食事制限などのダイエット
産後は早く体形や体重を元に戻したいと思うママも多いかもしれませんが、産褥期の激しい運動や食事制限などのダイエットは避けましょう。
出産後は体力を消耗している状態です。母乳育児で赤ちゃんにしっかり母乳をあげるためにも、ダイエットは避け、バランス良くしっかり食べましょう。
運動は1ヶ月検診で体調に問題が無ければ、軽いストレッチなどから始めていくことがおすすめ。
出産によって身体は大きなダメージを受けていますので、身体に負荷のかかる筋トレやランニングなどを始めたいときは、医師や専門家に時期や進め方など相談すると良いでしょう。
長距離・長時間の外出
小さい赤ちゃんを連れて長距離・長時間の移動をするのは体力も気力も消耗します。
荷物が増えて重くなったり、周囲に気を使ったりする場面も多いため、身体が回復するまでは控えた方が無難です。
産後1ヶ月検診を過ぎたあたりから、近くのスーパーでの買い物や短時間の散歩など、無理のない範囲での外出から始めると良いでしょう。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは母乳に移行するため、赤ちゃんにニコチン中毒が起きる可能性もあります。
症状としては、赤ちゃんが興奮状態になって眠りにくくなる、下痢などがあります。また、タバコの煙は呼吸器系の疾患や乳幼児突然死症候群の危険を高める他、赤ちゃんが誤って口に入れてしまう恐れもあります。
母乳を与えていない場合であっても、タバコの煙を赤ちゃんが吸うことによる健康被害は避けられないため、喫煙は避けましょう。
飲酒
お酒に含まれるアルコールは母乳に移行し、赤ちゃんの成長を妨げるといった影響を及ぼす可能性があります。
もし、母乳育児中に飲酒する際は、飲酒後2~3時間空けて授乳することが推奨されています。
しかし、生まれて間もない赤ちゃんは頻回授乳になることも多いため、授乳時間を空けるのが難しい場合も多いでしょう。
また、ママが飲酒することによって母乳の分泌を促すホルモンの働きが抑制され、母乳の量に影響を与えるとも考えられています。
産後の飲酒は絶対にいけないわけではありませんが、赤ちゃんの授乳間隔が空くようになるまでは避けた方が良いでしょう。
カフェインの摂りすぎ
産後のカフェインは、妊娠中と同様に1日200~300mg程度の摂取量を上限にして、摂りすぎないように注意しましょう。
カフェインもアルコールと同様に母乳に移行するため、摂りすぎるとカフェインの作用によって赤ちゃんが興奮し、眠りにくくなるといった影響を及ぼす可能性があります。
産後1ヶ月検診前の性行為
1ヶ月検診前は身体の回復もまだ不十分です。会陰切開や帝王切開の傷が癒えていない場合も多いため、性行為による身体への負担が大きいといえます。
そのため、産後の性行為は1ヶ月検診を受けて、身体の順調な回復が確認できてからを目安にしましょう。ただし、帝王切開の方は、もう少し期間が必要な場合もあります。
産褥期(産後の肥立ち)が終わるのは6~8週間後
出産を終えた女性の身体が、妊娠前の状態に回復するまでの期間を「産褥期」といい、「産後の肥立ち」とも呼ばれます。
産褥期の期間には個人差もありますが、目安は6~8週間程度です。
産褥期は子宮が元の大きさに戻ろうと収縮したり、ホルモン分泌が一気に減少したりと、心身の状態が不安定になります。
身体が元に戻っていないことで、疲れやイライラ、むくみ、産後うつなどの不調も表れやすい時期です。
出産で開いた骨盤も元に戻っておらず、会陰切開や帝王切開の傷の痛みなどが残っている方も多いため、産後は安静して過ごしましょう。
産褥期の過ごし方
ここからは、産褥期の過ごし方について、時期ごとに紹介していきます。
産後3週間までは休養をメインに
産後3週間までは、とにかく身体を休めることを心がけましょう。
赤ちゃんのオムツ替えや授乳など、最低限のお世話を中心に過ごし、なるべく横になって休む時間を確保します。
入院中の生活と同じようなイメージで、日常生活は出来るだけ動き回ることを控え、回復に専念して過ごしましょう。赤ちゃんが寝ている間は、一緒に休むことが大切です。
ご主人や実家など、他の大人の手が借りられなくて休養が難しい場合は、家事代行サポートを利用する方法もあります。出産前から、産褥期の過ごし方について家族と話し合っておくと良いでしょう。
産後3~4週間から簡単な家事はOK
産後3週間を過ぎた時期のことを「床上げ」とも呼び、安静が中心だった生活から徐々に行動できるようになります。
簡単な家事などを始めても大丈夫ですが、まだ身体は回復途中なため無理は禁物です。
産後3~4週間には、赤ちゃんとママの1ヶ月検診を受ける時期が来るため、母体の回復が順調であれば、負担のかからない範囲で少しずつ家事を再開していきましょう。
産後5~8週間で少しずつ元の生活へ
産後5~8週間くらいでママの体は元の状態に戻っていきますが、回復にかかる期間は個人差があります。
慣れない育児と家事の両立で疲れやすく、寝不足になるママも多いため、産褥期を過ぎても油断せず、無理しない生活を心がけましょう。
産後5~8週間では、会陰切開や帝王切開の傷も大分癒え、身体が元の状態に近づいていきますが、完全に戻ったと感じられるまでには3ヶ月~1年程度かかる方も多くいます。
産後の体の回復を早めるポイント
産後は「食事」「産褥体操」「開いた骨盤のケア」も意識しながら過ごし、身体の回復を早めましょう。
産褥体操をする
産褥体操は産後すぐに始められる体操で、身体の回復を早めてくれる効果があります。
足首を動かしたり肛門を閉めたりといった簡単な動きで、産後の体調に問題がなければ始めることが可能です。
産褥体操を取り入れることで、緩んだ骨盤底筋へのアプローチや子宮収縮・血液循環を促進するなどの効果が期待できます。
気分転換にもなるため、体調に無理のない範囲で取り入れてみてください。
産褥体操は産院で指導を受けられるケースも多くあります。入院期間に正しいやり方や注意点を確認しておくと良いでしょう。
骨盤ケアをする
出産で開き歪んだ骨盤や緩んだ骨盤底筋は、産後すぐにケアを始めることで正常な状態に戻りやすくなります。
骨盤が歪んだ状態のままだと、後々の腰痛や尿漏れ・下半身太りなどの原因になるため、産後はさらしや骨盤ベルトですぐに骨盤ケアを始めましょう。
なお、さらしや骨盤ベルトを使った骨盤ケアは産後すぐに始められますが、骨盤矯正は産褥期を過ぎてから始めます。産後1ヶ月検診を終え、体調に問題がないことを確認してから骨盤矯正のタイミングを判断しましょう。
栄養バランスの良い食事をする
出産で消耗した体力や失った血液を取り戻すためにも、食事で栄養をしっかり摂りましょう。
産後は身体の疲れがとれる間もなく赤ちゃんのお世話が始まります。
気持ちや時間に余裕のない時に、インスタント食品や菓子パンなどは手軽で便利ですが、栄養が偏りがちで乳腺を詰まらせてしまう可能性もあります。
産後のママが特に意識して摂りたい栄養素は、
- ・葉酸
- ・タンパク質
- ・鉄分
- ・カルシウム
- ・DHA・EPA
などです。
母乳を作るために多くの水分が必要なため、水分補給もこまめに行いましょう。エネルギー源となる糖質もしっかり摂ることが大切です。