耳鳴り
.耳鳴りの基礎知識
耳鳴りの基礎知識を学びましょう。ご自分が困っている症状について知ることは、耳鳴りという症状とうまく付き合って行く上でもとても大事なことです。
耳鳴りは周りの環境が静かで、何かに集中している環境でないときに現れることが多く、また難聴やめまいを伴うことが多いとされています。
個人差はありますが、耳鳴りが最も生活上でさまたげになる場面は何と言っても就寝時です。
就寝時に耳鳴りが聞こえると眠れず、ストレスの増大、体調不良を引き起こします。長期化するとうつ状態に陥ることもあり、早めの対処が重要となります。
(1)耳鳴りの種類
耳鳴りの種類は、大きく3種類に分けられます。
- 生理的耳鳴り:静かな場所で聞こえるシーンというような音(病的ではない音です)
- 自覚的耳鳴(じかくてきじめい):自分にしか聞こえない音
- 他覚的耳鳴(たかくてきじめい):聴診器などを通して他者も聞くことができる音
(2)耳鳴りの原因
耳鳴りの原因の多くは、耳にあると考えられています。耳の鼓膜の奥、内耳と呼ばれる部分が問題で起こるものが約8−9割で、例えば具体的には耳の病気や脳の病気、神経疾患や薬物中毒、全身的なストレスなどが原因だと言われています。
しかし原因がわからないケースもたくさんあり、ストレスが耳鳴りの発生に関与しているのではないかと言われています。生活のペースが乱れたり、不眠や疲れやストレスがかかっている時に症状が出現したり、悪化するケースが多いと言われています。
(3)耳鳴りの症状
耳鳴りで聞こえる代表的な音には、以下の様な音があります。
- 金属音のように聞こえる音(キーン)
- 電子音のように聞こえる音(ピー)
- セミの鳴き声のように聞こえる音(ジーン)
これらの音がいつどんな時に現れるのか、片側なのか両側なのかなどもさまざまであり、その音量に関しても個人差が大きく現れます。
(4)耳鳴りの治療
耳鳴りの治療は、主に耳鼻咽喉科で行われます。耳鳴りの治療法には、薬物療法・ブロック療法(星状神経節ブロック)・TRT(Tinnitus Retraining Therapy)療法などがあります。しかし、これをすれば治るという治療法は確立されていないため、色々試しながら治療を進めていきます。
2.耳鳴りの危険因子
耳鳴りの危険因子は、日常生活にいくつも潜んでいます。気づかないうちに耳鳴りが生じやすい状況を招いてしまっている恐れがあります。できるだけ避けて、耳鳴りを予防しましょう。
(1)冷え
体が冷えると血管が収縮します。血管が収縮すると血流が悪くなります。耳への血流が悪くなると、耳鳴りが生じる恐れがあります。
(2)気温差
気温差は自律神経の乱れを招きます。自律神経が乱れると、耳鳴りが生じる恐れがあります。
(3)気圧の変化
お天気が悪いとき、体は膨張する傾向にあります。低気圧や台風などもその一端となることもあります。細胞や血管が膨張すると神経を圧迫し、耳鳴りが生じる恐れがあります。
(4)大きな音
大きな音や激しい騒音にさらされることは、耳にとってストレスです。自然に数日で治ることもあれば、耳鳴りとして残ってしまうこともあります。
大きな音にさらされる環境は避けた方がよいでしょう。
避けられない要因もいくつか含まれていますが、予測を立てたり、できるだけ避けることが可能なものもあります。余裕を持って行動することができると、対処もしやすくなります。
3.日常生活でできること
耳鳴りでお困りの方が日常生活で対処または改善できることに、以下のようなものがあります。基本的には、「無理せず、自分にやさしく」です。できることから取り入れていきましょう。
(1)休息をとる
十分な睡眠をとりましょう。ゆっくり過ごすこと、規則正しい生活をすることが自律神経を整え、耳鳴りの症状緩和につながります。十分な睡眠をとるために、軽い運動や入浴の際に湯船につかって疲れを取ると良眠もえられやすくなります。
(2)体の緊張をほぐす
体が緊張状態になると自律神経の1つである「交感神経」が優位になります。すると、血管が収縮し血液が体に十分いきわたらなくなります。ストレッチなどをして、緊張をほぐしましょう。
(3)ストレスを発散する
ストレスをためないということは、現代社会ではなかなか難しいことです。楽しめる趣味やスポーツなどをしてストレスを発散、規則正しい生活をしましょう。
(4)血の流れをよくする
体を温めたり、軽い運動をしたりして血の流れをよくしましょう。耳への血流が良くなると、耳鳴りの症状が和らぎます。長めの入浴やスクリーンタイムを減らすといった取り組みも身体の血の巡りの改善にも役立ちます。
(5)耳鳴りをあまり気にしない
慢性的な耳鳴りはとてもつらいものです。しかし、耳鳴りを気にしすぎるとそのことがストレスとなり、より悪くなってしまう恐れがあります。できるだけ気にしないようにしましょう。
できるだけ他のことを考える、気晴らしをするなど、少し気持ちを切り替えることも耳鳴り軽減に重要な要素と言えます。
(6)禁煙・カフェイン摂取を控える
先ほどの血の流れを良くすることにもつながりますが、喫煙は血流の悪化を招き、耳鳴りにも影響します。またカフェインの取りすぎは、睡眠にも影響し、さらには耳鳴りにも影響することがあります。
4.耳鳴りの症状があらわれる病気
耳鳴りの症状があらわれる病気を知っておきましょう。耳鳴りの原因によっては、早急な治療が必要な場合があります。
(1)耳鳴りの症状があらわれる耳の病気
- 難聴(突発性難聴、スマホ難聴、加齢性難聴、騒音性難聴)
- 聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)
- 耳垢栓塞(じこうせんそく):耳あかが溜まっている
- 耳管狭窄(じかんきょうさく)
- 耳硬化症(じこうかしょう)
- メニエール病
- 急性中耳炎
(2)耳鳴りの症状があらわれる耳以外の病気
- 高血圧症
- 風邪
- 認知症
- 糖尿病
- 貧血
- 心臓病
- 自律神経失調症
耳鳴りの症状が気になりだしたら、たとえ軽いものであったとしても、一度は医療機関を受診しましょう。原因をはっきりさせ治療することで、早期回復につながることがあります。耳鳴りが長期間継続するとうつや不安の原因になることもあります。
特に脈拍毎に耳鳴りが聞こえる、耳の片側だけの耳鳴り、耳鳴りとともにめまいや歩行障害などの神経症状を伴う際には要注意のサインであり、医療機関に相談しましょう。
耳鳴りはとてもつらい病気です。病院でも治らないと言われることも多いです。当院での鍼灸治療では、耳鳴りの原因となる内耳の血流・リンパ液の改善、自律神経のバランスを整える事、身体全体をしっかりと診て免疫力を上げる。総合的な治療で耳鳴りを診ております。耳鳴りは、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。