肩凝りとは?
現代人を悩ます体の痛みといえば、まず挙げられる肩こり・腰痛。「二足歩行をする人間の宿命」とまで言われているこの2つですが、これらは病気の名前ではなく、症状の名前なのです。
肩こりとは
肩こりは症状を表すもので、その症状は「こっている」「張っている」「だるい」「痛い」などさまざまに表現されます。
肩こりには、頭と首と肩をつないでいる筋肉(僧帽筋)が最も関係しています。この筋肉は重たい頭を支え、肩甲骨を動かす際に使われており、日常生活の中でもよく使われる筋肉の一つ。筋肉は緊張している状態が長く続くと疲れて固くなります。この固くなった状態が続くことで「こり」や「痛み」が生じ、肩こりとなるのです。
肩こりが日常的に続くことで症状は悪化し、場合によっては「四十肩・五十肩」や「腱板断裂」などの肩関節の疾患につながる場合もあります。
肩の主な病気
●五十肩●石灰性腱炎●腱板断裂●頚椎症●変形性頚椎症 など
腰痛とは
腰痛は、腰回りの筋肉や背骨(脊椎:椎骨と椎間板)、背骨を通る神経、関節が損傷したり、刺激を受けたりすることで起こりますが、原因はさまざまで特定できない場合も多くあります。原因が明らかな特異的腰痛と原因が明らかではない非特異的腰痛に分けられ、約85%が非特異的腰痛と言われています。※
【特異的腰痛】約15%
原因が明らかな腰痛(椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症など)
【非特異的腰痛】約85%
原因が明らかではない腰痛
腰の主な病気
●脊柱管狭窄症●椎間板ヘルニア●圧迫骨折 など
他にも、内臓の疾患やストレスが原因となって肩こり・腰痛が起こることがあります。たとえば狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患から起きる肩の痛み、胃、肝臓、すい臓、腸の疾患、尿路結石、腹部大動脈瘤、子宮筋腫、子宮内膜炎などから起こる腰の痛みなど、内臓疾患に関係する痛みもあります。
肩こり・腰痛ともに、原因となる疾患が明らかなものは、それを治療することで改善されます。強い痛みが長引いたり悪化したりする場合は、医療機関を受診することが重要です。
「こり」の原因の多くは筋肉の緊張!
人間の体は、立っているだけでも首、肩、腰に負担がかかっています。人間の頭の重さは体重の約10~15%、腕の重さは体重の5%といわれており、たとえば体重50㎏の場合、頭の重さは5~6.5㎏にも及びます。これは、水の入った500mlのペットボトル約10本の重さに相当します。これが「二足歩行をする人間の宿命」といわれるゆえんです。
悪い姿勢などにより筋肉の一部分に負担がかかると、筋肉が緊張し疲労します。すると、疲労物質が溜まり筋肉が膨張し、血行が悪くなります。血行が悪くなると、十分に酸素が行きわたらず、エネルギーが不完全燃焼となり、さらに疲労物質が溜まります。
筋肉疲労が継続すると筋肉が固く収縮し、「こり」となります。疲労物質が末梢神経を刺激して痛みが起こることもあります。
姿勢の悪さ、歯のかみ合わせ、目の疲れも原因に!
肩こり・腰痛対策は、まず原因を知って改善することが有効です。主な原因として考えられているのが悪い姿勢や運動不足。同じ姿勢を続けていると特定の場所に負担がかかり、たとえその負担が軽度でも、長時間持続すると筋肉の緊張が偏って起こり、肩こり・腰痛につながります。運動不足などによって、筋力が低下すると疲労物質が溜まりやすくなるため、肩こり・腰痛になりやすくなると考えられています。
また、なで肩・猫背・肥満など、骨格や体型も関与しています。たとえば、猫背になると重心が前に傾き、首や肩などの筋肉の緊張につながることで肩こりの原因となり、上半身のバランスを補正するため腰にも負荷がかかり、腰痛の原因にもなります。
さらに現代人に多いのは、歯のかみ合わせの悪さや目の疲れからくる肩こりです。目の疲れは交感神経を刺激して、筋肉を緊張させます。とくに目と首は近い位置にあるため、目が疲れると、その信号が目の神経を介して首周辺の筋肉を緊張させやすく、肩こりの原因になると考えられています。
ストレスと筋肉の緊張
ストレスと切り離せない生活を送っている現代人。このストレスも、肩こり・腰痛の原因の一つとして考えられています。
ストレスと筋肉の緊張には、自律神経が関係しています。自律神経とは内臓や血管、汗腺などを支配する神経で、交感神経と副交感神経の2つで構成されています。この2つの神経は正反対の作用をすることから、一方が働いていると、もう一方が沈静する仕組みになっています。
交感神経は動物が敵に襲われたり獲物に向かったりするときに働く神経。一方、副交感神経は休養してエネルギーを補給するときに働く神経です。
ストレスがかかると、交感神経が優位になります。すると、筋肉は緊張し血管が収縮し、肩こり・腰痛につながるのです。肩こり・腰痛を繰り返していると、それ自体がストレスとなり悪循環をもたらすと考えられています。
心と体は互いの働きに影響を及ぼし合っています。体を動かすと心が動き、心が動くと体も反応します。呼吸、筋肉、姿勢における相互作用を利用して、体をコントロールすることでストレスによる「こり」を予防、解消しましょう。
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