疲労骨折
疲労骨折とは?
疲労骨折とは、同一部位の骨に疲労が蓄積されることで起こる骨折です。そのため、一回の大きな外力(転倒や強打が原因)で発生する通常の骨折とは異なり、短期的に過度なトレーニングを繰り返し行うことよって起こることが多いと考えられています。 同じ動きやトレーニングを繰り返し行うことで、同部位に繰り返し小さなストレスが加わり、そのストレスによる軽い損傷が積み重なって、治ることなく残ってしまうことで起こります。初期は軽い痛みや腫れ感のみですが、症状が進行すると、ひびが入ったり、ひどい場合には完全な骨折につながる場合もあります。
疲労骨折はあらゆる年齢で発症しますが、骨や筋力の発育的な問題から、成長期(15,6歳前後)に多くみられると言われています。
また、疲労骨折は女性運動選手の3主徴(骨粗鬆症、無月経、摂食障害の徴候)で生じやすいとも言われています。
疲労骨折の原因
- ・使いすぎによる疲労の蓄積
- ・栄養不足(無理なダイエットなど)
- ・(女性の場合)原発性無月経・続発性無月経
- ・固いフロアやロードでの練習
- ・体幹機能やバランス能力が足りず、一箇所に応力が集中する使い方をしてしまう場合
- ・タバコの吸いすぎや飲酒など
疲労骨折の多い部位・競技
※疲労骨折の多い部位順(日本整形外科学会より)
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- 1.中足骨の疲労骨折(疲労骨折全体の約35%)
中足骨は、足の裏を形成する5本の骨です。ランニングの多い競技(陸上の長距離選手)や、サッカー、ラクビ―、バスケットボールなど素早い動きを要求される競技、爪先立ちやジャンプ動作の多いバレエダンサーや新体操選手に多く見られる疲労骨折です。
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- 2.脛骨の疲労骨折(疲労骨折全体の約27%)
脛骨の疲労骨折は、ジャンプ競技(バレーボールやバスケットボール)、ランニングの多い競技(陸上の長距離選手やサッカー、野球)、ジャンプの多い男性ダンサーなど、すねの骨に圧力がかかる競技に多くみられる疲労骨折です。
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- 3.肋骨の疲労骨折(疲労骨折全体の約12%)
肋骨の疲労骨折は上部と下部で異なりますが、下部肋骨の疲労骨折は主に体幹のひねり動作などで起こります。ゴルフややり投げ、体操競技に多い疲労骨折です。また咳のしすぎで生じる場合もあります。上部肋骨、特に第一肋骨の疲労骨折はウェイトリフティングやベンチプレスなどのウェイトトレーニングでも生じることがあります。
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- 4.腓骨の疲労骨折(疲労骨折全体の約9%)
腓骨の疲労骨折も、中足骨・脛骨・大腿骨同様、陸上の長距離選手やダンサーに多くみられる疲労骨折です。
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- 5.尺骨の疲労骨折(疲労骨折全体の約3%)
尺骨の疲労骨折は、野球、ソフトボール、テニス、バレーボールなどの競技で、何度もボールを打った時の衝撃が蓄積されることで起こる疲労骨折です。
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- 6.大腿骨の疲労骨折(疲労骨折全体の約3%)
大腿骨の疲労骨折は、陸上競技、サッカー、フィギュアスケート、新体操などの競技で生じることがあります。ジャンプ動作や着地動作により体重の荷重による上方からの圧力と、地面を蹴るときに生ずる下方からの突き上げや捻転による負荷が繰り返されることにより、大腿骨に負荷が蓄積されて起こる疲労骨折です。
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- 7.足関節内果の疲労骨折(疲労骨折全体の約3%)
足関節内果の疲労骨折は、足関節(足首)の内果(内くるぶし)に生じる疲労骨折です。サッカー競技などで多くみられます。