肩凝りの解消法
コリの解消のほかリラックス効果も期待できる、温熱療法
温熱療法では、患部に熱を加えて局所の血行を促進し、筋肉の緊張を緩めて、コリや痛みを和らげます。温めることで、精神的なリラックス効果も期待できるでしょう。ストレス解消にもつながります。
反対に、コリのある部分を冷やして治療するのが寒冷療法です。寒冷療法では、患部の血管を収縮させて炎症を抑制し、痛みの伝達経路をブロックして、コリや痛みを緩和します。冷却を止めると、滞っていた血流が促進されて老廃物が洗い流されるため、組織の修復と回復を促すことができます。
温熱療法は慢性の肩こりに有効
温熱療法は、患部が炎症を起こして、赤くなったり腫れたりしている場合は、かえって症状を悪化させてしまいます。慢性的な肩こりには温熱療法を、急性の肩こりには寒冷療法を行うといいでしょう。冷やすか温めるか迷ったときは、入浴した際にコリや痛みが和らぐかどうかを目安にしてください。温熱療法は、慢性的な肩こりのほか、腰回りの痛みや五十肩などにも効果があるといわれています。
温熱療法の種類
温熱療法には、温めたパックを患部にあてるホットパックや、約55℃に熱して溶かしたパラフィン(ロウ)で患部を温めるパラフィン浴、赤外線治療器などを使う方法などがあります。
家庭で手軽に取り入れやすいのが入浴です。ゆっくりと湯船につかれば、それだけでも全身の血行促進や疲労回復に役立ちます。ホットパックの代わりに、使い捨てカイロを利用するのもいいでしょう。ただし、気がつかないうちに低温やけどを発症する場合もあるので注意が必要です。素肌に直接カイロを貼らないようにしてください。
継続できる範囲で適度に行うことがポイント、運動療法(全身運動)
肩こりはからだを動かさないでいると、ますます悪化します。運動によって肩のコリや痛みを緩和する方法を「運動療法」といいます。肩こりに対する運動療法の目的は、緊張した筋肉をほぐす、緊張で収縮した肩関節の可動域を拡大する、肩の血行不良を改善する、筋肉を鍛える、運動機能を回復させることなどが挙げられます。
ただし、最初から張り切りすぎるのは禁物です。過度の運動はかえって肩こりを悪化させる可能性があるので、何事も「ほどほど」を心がけましょう。また、急にからだを動かすと、首や肩に大きな負担をかけてしまいます。運動を始める前には、必ずウォーミングアップを行ってください。
運動とストレス
からだを動かすと、血の巡りが良くなるだけでなく、気分転換にもなります。肩こりの陰の原因のトップは、ストレスともいわれています。強いストレスがかかると、からだの働きを調整する自律神経に悪影響が出て、血行障害を起こす可能性があるからです。適度な運動は気分を高揚させ、ストレス解消に役立ちます。毎日の生活に運動習慣を取り入れてみましょう。
肩こりに効果的な全身運動の種類
肩こりの解消には、酸素を取り込みながら行う有酸素運動が適しています。有酸素運動を行うことで血流が促され、からだのすみずみまで酸素や栄養が循環しやすくなります。逆に、短距離走や筋トレなどの無酸素運動はあまりおすすめできません。ウォーキングや軽いジョギング、水泳、エアロビクス、ヨガなどから、楽しく続けられそうなものを見つけましょう。まずは、1日20分間、週に2〜3回、3ヵ月継続を目標にしてください。
デリケートな首コリにおすすめの首まわりの運動
首は、からだの中で重要な場所であると同時に、デリケートなところでもあります。肩こりの症状の陰には、首の不調が隠れているケースが少なくありません。特に日本人は欧米人と比べて骨格がきゃしゃなため、首の不調が多いとされています。
首の骨(頚椎、けいつい)を形成するのは、7個の骨です。その骨と骨の間には椎間板(ついかんばん)と呼ばれるクッションのような役割を果たす軟骨が存在し、椎間関節を作っています。首を自由に動かせるのは、この椎間板と椎間関節の働きがあるからです。また、首は、脊髄の通り道でもあり、全身の機能に関係しています。
しかし、椎間板と椎間関節は消耗しやすいのが弱点で、早くて20代から変性が始まるといわれています。この椎間板や椎間関節がすり減ったり、変形したりすると、全身にさまざまな問題を引き起こします。そのひとつが肩こりです。
ストレートネックとは
「ストレートネック」という言葉を耳にしたことはありませんか。ストレートネックとは、本来ゆるやかなS字カーブを描いているはずの頚椎が、首を前に出した姿勢を続けることで、文字どおり、まっすぐになってしまった状態です。スマホを操作するときに前かがみの姿勢になるため「スマホ首」とも呼ばれています。ストレートネックは、肩こりや首こり、頭痛などの原因になります