スポーツ障害
シンスプリントの症状・原因、対処と予防法 ランニング初心者に多い足のすねの痛み
ランニング中に足のすねが痛くなったことはありませんか? あまり聞き慣れない言葉ですが、これはランニングやジョギング中に発生するシンスプリントと呼ばれるスポーツ障害の症状かもしれません。走ったり、ジャンプしたりしたときに、すねの内側に痛みが出ます。
最近はランニングやジョギングブームもあって、シンスプリントに悩まされているランナーが増えています。スポーツを始めたばかりの人に多く見られ、初心者病とも呼ばれています。しかし、その症状は疲労骨折との見分けがつきにくく、見極めが大切です。
シンスプリントとは?
シンスプリントは、脛骨(けいこつ)の周りにある骨膜が炎症を起こすスポーツ障害です。脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれます。運動時や運動後にすね内側の中央から下方1/3にかけて、ズキズキとした痛みが生じます。
シンスプリントの発生要因
シンスプリント発生のメカニズムには諸説あり、はっきりしたことは明らかになっていません。主な発生要因としては、次のようなものが挙げられます。
内的要因
オーバートレーニング
負担のかかりやすいランニングフォーム
衝撃を受けやすい足の形(扁平足、回内足)
下肢の筋力不足
筋肉の柔軟性低下
外的要因
硬いグランドや路面でのトレーニング
かかとがすり減っているシューズやクッションが薄いシューズの使用
シンスプリントと疲労骨折はどう違う?
シンスプリントのほかにもスポーツに伴ってすねの内側が痛くなるケガのひとつに、疲労骨折があります。痛む箇所もよく似ていていますが、治療方法が異なるので正確な判断が求められます。
シンスプリントの場合、痛みを感じる部分が10センチ程度と長く、約40%は両足のすねに症状が出るのが特徴です。一方、疲労骨折の場合は、片方のみに発症するケースがほとんどで、5センチ以下のピンポイントで痛みが発生します。
ただし、こうした症状だけで、自己判断するのは危険。気になる症状があったら、整形外科でMRIによる画像検査を受けることをおすすめします。
すねが痛くなった時の対処法
痛みを我慢して練習を続けていると、膝の内側が痛くなる鵞足炎や膝の外側が痛くなる腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)、通称ランナー膝を併発して重症化する可能性があります。
すねが痛くなったときは、まずは運動量を減らすことが大切です。応急手当として、痛みの出ている部分にアイシングを施しましょう。
すねの痛みを根本から改善するには、シンスプリントの内的・外的要因を取り除くことが重要です。硬い路面での運動を避ける、かかとのすり減ったシューズは交換するなどの対応をすると同時に、下肢の筋力アップや柔軟性の向上、ランニングフォームの修正などを併せて行うことをおすすめします。
すねが痛くなりやすい4つのタイプと予防策
同じ環境で同じ量の練習をしていても、すねが痛くなる人と痛くならない人がいます。それには、すねに負荷がかかりやすくなる傾向が関わっています。予防策と合わせてご紹介します。
扁平足の人
足の裏のアーチ(いわゆる土踏まず)は着地によって地面から受ける衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。土踏まずのない扁平足の人は地面からの衝撃がダイレクトに伝わるため、シンスプリントになりやすいといわれています。
足裏のアーチを改善させる方法として、素足での青竹踏みやテニスボールを使った足裏マッサージなどが有効。足指でのじゃんけん、足指を使ってタオルをたぐりよせる「タオルギャザー」といった足指トレーニングを行うことも扁平足解消に役立ちます。
ランニングフォームが悪い人
ランニングフォームが悪いと、すねの骨にねじれが生じて、痛みが生じやすくなります。着地足のつま先と膝が同じ方向になるよう意識しましょう。
また、着地するときにドタバタと音を立てるのは禁物です。ソフトなランディング(着地)を心がけてください。ソフトランディングを行える筋力をつけるために、スクワットやフロントランジといった下半身のトレーニングが有効です。
すねとふくらはぎの筋肉が硬い人
ランニング時にふくらはぎ部分の筋肉が硬くなっていると、骨に牽引ストレスがかかって痛みの原因になります。すねの痛みを自覚している人は、日頃からすねとふくらはぎのストレッチを入念に行いましょう。
ひらめ筋(ふくらはぎ)のストレッチ
壁に手をつき、膝を曲げてふくらはぎの筋肉を伸ばします。
急に体重が増えた人
からだを大きくしたいからと急激に体重を増やした場合、その体重を支えるだけの筋力が不足しており、すねに負担がかかって痛みを引き起こすことがあります。体重を増やすときは1ヶ月に1~2kgを目安とし、増量と並行して下肢の筋力トレーニングを行ってください。
シンスプリントの要因は、すねの使いすぎだけではありません。要因を一つひとつ取り除いて、快適なランニング・ジョギングライフを送りましょう。