肩こりが起こる原因
肩こり」が起きる原因
私たちの体にある関節のうち、唯一、骨がぶら下がる構造をしている「肩の関節」。 人間の腕は、肩関節の周りにある僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋、といった複数の筋肉によって「吊り下げられて」います。
これらの筋肉には、腕の重みで常に大きな負担がかかっているため、肩こりが起きやすいのです。
五十肩とは
五十肩は、40~50代で最も多く発症します。加齢によって肩周辺の組織がもろくなり始めることなどが要因として挙げられます。
五十肩の特徴としては、
- 肩や腕が痛んで腕が上がらない
- 衣服の脱ぎ着ができない
などの症状があげられます。
■五十肩の症状(急性期~慢性期)
五十肩は経過に伴い、症状が変わっていきます。症状の軽減や早期回復、悪化の予防のためには、経過に合わせて肩の安静と運動療法を適切に使い分けることが大切です。
- 急性期(発症から2週間程度):痛みが強いものの、無理をすれば肩を動かせる。
- 慢性期(6か月程度):痛みは軽減するが、肩が動かしにくくなる。
- 回復期(1年程度):徐々に痛みが解消していき、次第に肩を動かしやすくなる。 ※数年かかる場合や、症状が残ることもあります。
■長引く五十肩は、「新生血管」が原因かも
五十肩は、自然に治ってしまう人もいますが、必ずしも自然に治るとは限りません。実は、「なかなか治らないタイプの五十肩」もあるのです。五十肩が長引く原因はいくつかありますが、最近、注目されている原因の一つとして、肩に「新生血管(正常な血管から枝分かれして出来る新しい血管)」ができることが挙げられます。
■五十肩を治す体操・ストレッチ
五十肩に悩んでいる人には、回復につながる体操もおすすめです。 ただし、「肩を動かしていないのに痛む」、「肩に熱感がある」といった場合は、急性期だと考えられ肩を安静にする必要があるため、体操を行わず整形外科を受診してください。
なで肩の人は要注意「胸郭出口症候群」
なで肩は、肩こりを起こしやすい要因の1つです。なで肩の人は、ショルダーバッグがずり落ちやすい・首が長く見えるといった特徴があります。
そんな「なで肩の人」で、
- がんこな肩こりや腕のだるさがある。
- 腕を挙げたときに腕から手のしびれや脱力感を感じる。
という場合には、「胸郭出口症候群」の可能性があります。
神経や血管が引っ張られることで、腕のだるさや、ひじから手にかけて小指側に痛みやしびれなど、さまざまな症状を感じることがあります。 胸郭出口症候群が進行すると、神経の障害によって、握力が低下して荷物を落としてしまったり、手が麻痺(まひ)して細かい作業がしにくくなったりすることがあります。
■胸郭出口症候群の対策
なで肩による胸郭出口症候群を改善するには、姿勢の注意や体操療法のほかに日ごろから体に負担をかけない工夫が大切です。特に、手や腕のしびれが出ている場合は、無理をしてはいけません。 重い荷物は、症状を悪化させるので、できるだけ手で持たないようにします。キャリーバッグを使ったり、左右の手で交互に持ったりするなど、肩に負担をかけない工夫をするようにしてください。
なで肩による胸郭出口症候群が疑われる場合は、姿勢をよくする体操がおすすめです。
(※「強い痛みやしびれがある」「肩を動かしていないのに痛む」「握力が低下したり手指の動きが悪い」などがある場合は急性期と考えられるため、体操を行わず整形外科を受診してください)
肩こりと首こりは別!?原因は首の奥の筋肉!
首のこりを引き起こす筋肉もあります。 それが、頭蓋骨と首の骨をつないでいる「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」です。
この筋肉が、PCやスマホを見る時などの姿勢の悪さや目の使いすぎなどで凝り固まり、首の動きを悪くしたり、不快感を招いて首こりの原因になるのです。
後頭下筋群による首こりの症状には
- 頭痛(片頭痛含む)
- 首の後ろの上の部分の張りや痛み
- 首の回転や上下の動きが悪い
などがあります。
肩こり・肩の痛みを起こす「変形性肩関節症」
「変形性肩関節症」は、骨や軟骨の異常によって起こる病気です。 軟骨は関節の動きを滑らかにする役割を持っているため、軟骨がすり減ってしまうと骨同士が直接こすれ合うことになり、骨の変形と強い痛みを引き起こします。これを変形性肩関節症といいます。
■変形性肩関節症の治療
まず始めに、薬物療法、運動療法といった保存療法を行います。
薬物療法や運動療法といった保存療法でも痛みが治まらない場合や、夜間に痛くて眠れないような場合には、手術を検討します。
肩・上腕が痛い!「腱板断裂」とは
60代以上の人で、肩から上腕部にかけて痛みを感じたら、「腱板断裂」かもしれません。 肩関節は、骨の周りが、複数の筋肉に囲まれています。筋肉と骨は腱(けん)によってつながっており、その腱が板状に見えることから腱板と呼ばれています。この腱板が加齢などに伴ってもろくなり、切れてしまうのが腱板断裂です。
腱板断裂になると、「肩が痛い」「肩が動かしにくい」などの症状が起こりやすくなります。
■腱板断裂の治療
主に薬物療法と運動療法が行われます。 薬物療法では、断裂による炎症を抑えることで痛みを緩和します。
運動療法では、体操を行うことで腱板断裂の痛みによって緊張している筋肉をほぐすことができます。(※肩を動かしていないのに痛んだり、肩に熱感があったりしたら体操は行わないでください。)
首の痛みの原因は?セルフチェックと対策
日常生活の中で、下記にあてはまるものがないか、セルフチェックしてみましょう。
- スマホやパソコンでの作業時間が多い
- 首が下がってきた
- 首を後ろに反らすと痛い 首から腕への痛み
- ボタンの掛け外しがうまくできない
- 足がもつれ歩きにくい
- 1日10回以上トイレに行く、または夜間に3回以上