50肩の症状と肩のストレッチ
疾患・症状
五十肩の症状・原因・治療 – 肩の痛みの種類①
肩関節の痛みの原因のひとつとして、肩関節の炎症による痛みがあげられます。肩関節は他の関節にはあまりないデリケートな構造をしているため、炎症を起こしやすい部位です。特に中高年になると、肩関節に炎症が起こりやすくなります。肩を動かしたときや寝ているときに痛みが生じるようになったという方もいるのではないでしょうか?これがいわゆる「四十肩・五十肩」です。ここでは、五十肩の症状や原因について解説します。
肩関節周囲炎(五十肩)とは?
五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」といいます。関節の動きを滑らかにするために、関節周囲の筋肉や腱(けん)などの間には、滑液包(かつえきほう)と呼ばれる潤滑油のような役割をする液体が存在します。老化によって、この滑液包や筋肉、腱などに炎症が起こって痛みが生じると考えられていますが、はっきりした原因はよくわかっていません。
肩を動かすと痛い、腕が上がらない、シャツの袖に腕を通すのがつらいなどの症状があったら、五十肩の可能性が考えられます。
最初のうちは肩を動かすと痛む程度ですが、次第に安静にしていても痛むようになり、肩の可動域が狭くなっていきます。五十肩の場合、片方の肩だけに痛みがあるのが特徴です。片方の肩が発症したあとに、もう片方が痛くなるケースはありますが、両方の肩が同時に痛くなることはあまりありません。
五十肩の症状で特につらいのが、寝ているときに痛みが増す「夜間痛」です。特に、仰向けで横になり、肩が後方に落ちる姿勢になると、痛みが増します。ズキズキと疼(うず)くような痛みを伴うこともあり、睡眠が妨げられて、日常生活に支障をきたすようになります。
五十肩は放っておけば治る?
よく「五十肩は放っておけばいつか治る」といわれますが、はたして本当なのでしょうか? 平均して1〜2年で治りますが、なかには何年も痛みの残る人や、痛みが改善しても可動域の制限が残ったままの人もいます。できるだけ早めに受診して、適切な治療を受けることが大切です。
五十肩の痛みを改善するには
肩が痛むからといって動かさないでいると、痛みが悪化したり関節の可動域が狭くなったりするので、無理のない範囲でなるべく肩を動かすようにしましょう。ただし、痛みが強いときは医師の診断を仰いでください。必要に応じて、内服薬や肩関節内注射で痛みを抑えることができます。また、睡眠時に肩が痛むときは、肩の下にたたんだタオルなどを敷くと痛みが緩和されるでしょう。
痛みの度合いに合わせ、自分でできるケアと病院での治療の両方を組み合わせて、五十肩を改善していきましょう
肩こり解消のためのマッサージと首コリ・ストレートネックの解消法
日々の生活の中で肩こりを感じたとき、あなたはどのように対処していますか? たかが肩こりと放っておくと、頭痛や吐き気、めまいといった全身の不調につながる可能性もあるので、早めの対処が必要です。ここでは、マッサージ療法、温熱療法、運動療法(全身運動)、首まわりの運動、薬物療法の5つの対策をご紹介します。
- 目次
- マッサージ療法 – 血行を促進し筋肉の緊張をほぐす
- 温熱療法・寒冷療法 – コリや痛みを和らげる
- 運動療法 – 適度な運動による肩こり解消
- 首コリ解消におすすめの運動
- 薬物療法 – 肩こりに効く薬
マッサージ療法 – 血行を促進し筋肉の緊張をほぐす
肩こりは、肩や首まわりの筋肉疲労や血行不良で起こります。長時間の同じ姿勢や疲れやストレスなどによって肩の筋肉が萎縮すると、筋肉にある血管が圧迫されて、血行不良を起こします。すると、血液の中に疲労物質や老廃物が少しずつ蓄積して、肩こりを引き起こすのです。反対に、血の巡りをよくすれば肩こりの解消につながるわけです。
マッサージを施すことで、首や肩、肩甲骨付近の血行が促され、筋肉の緊張がほぐれて肩こりが緩和されます。また、マッサージ療法は、肩こりが痛みの症状に進行した場合の対処法としても有効です。からだには痛みを伝達する経路があると考えられていますが、触覚の刺激がこの伝達路に作用して痛みを伝達しづらくする効果も期待できるでしょう。さらに、マッサージでトリガーポイント(強い痛みを発する点)を刺激して、痛みを和らげる方法もあります。
電気治療器の活用 – 筋肉のコリをほぐし痛みを和らげる
つらい肩こりをケアするために、整体やリラクゼーションサロンに通っている人も多いでしょう。しかし、マッサージを受けて一時的に肩こりが楽になっても、その状態が長続きせず、すぐに元に戻ってしまうケースも少なくないようです。とはいえ、こまめにマッサージに通うのは、時間的にも費用的にもなかなか難しいもの。セルフマッサージという手もありますが、肩甲骨まわりを自分で押したりもんだりするのは大変かもしれません。
そんなときに便利なのが、家庭用電気治療器を用いたケアです。電気治療器(低周波治療器)とはからだに微弱な電流を流して、肩のまわりの筋肉のコリをほぐしたり痛みを和らげする治療器ですが、最近ではいろいろな種類の製品が販売されており、自分にあったタイプを選べます。コードレスタイプであれば、いつでもどこでも気軽に治療できる点も大きな魅力といえるでしょう。
温熱療法・寒冷療法 – コリや痛みを和らげる
温熱療法では、患部に熱を加えて局所の血行を促進し、筋肉の緊張を緩めて、コリや痛みを和らげます。温めることで、精神的なリラックス効果も期待できるでしょう。ストレス解消にもつながります。
反対に、コリのある部分を冷やして治療するのが寒冷療法です。寒冷療法では、患部の血管を収縮させて炎症を抑制し、痛みの伝達経路をブロックして、コリや痛みを緩和します。冷却を止めると、滞っていた血流が促進されて老廃物が洗い流されるため、組織の修復と回復を促すことができます。
慢性的な肩こり解消に効果的な温熱療法
温熱療法は、患部が炎症を起こして、赤くなったり腫れたりしている場合は、かえって症状を悪化させてしまいます。慢性的な肩こりには温熱療法を、急性の肩こりには寒冷療法を行うといいでしょう。冷やすか温めるか迷ったときは、入浴した際にコリや痛みが和らぐかどうかを目安にしてください。温熱療法は、慢性的な肩こりのほか、腰回りの痛みや五十肩などにも効果があるといわれています。
温熱療法の種類
温熱療法には、温めたパックを患部にあてるホットパックや、約55℃に熱して溶かしたパラフィン(ロウ)で患部を温めるパラフィン浴、赤外線治療器などを使う方法などがあります。
家庭で手軽に取り入れやすいのが入浴です。ゆっくりと湯船につかれば、それだけでも全身の血行促進や疲労回復に役立ちます。ホットパックの代わりに、使い捨てカイロを利用するのもいいでしょう。ただし、気がつかないうちに低温やけどを発症する場合もあるので注意が必要です。素肌に直接カイロを貼らないようにしてください。
運動療法 – 適度な運動による肩こり解消
肩こりはからだを動かさないでいると、ますます悪化します。運動によって肩のコリや痛みを緩和する方法を「運動療法」といいます。肩こりに対する運動療法の目的は、緊張した筋肉をほぐす、緊張で収縮した肩関節の可動域を拡大する、肩の血行不良を改善する、筋肉を鍛える、運動機能を回復させることなどが挙げられます。
ただし、最初から張り切りすぎるのは禁物です。過度の運動はかえって肩こりを悪化させる可能性があるので、何事も「ほどほど」を心がけましょう。また、急にからだを動かすと、首や肩に大きな負担をかけてしまいます。運動を始める前には、必ずウォーミングアップを行ってください。
運動によるストレス・肩こりの解消
からだを動かすと、血の巡りが良くなるだけでなく、気分転換にもなります。肩こりの陰の原因のトップは、ストレスともいわれています。強いストレスがかかると、からだの働きを調整する自律神経に悪影響が出て、血行障害を起こす可能性があるからです。適度な運動は気分を高揚させ、ストレス解消に役立ちます。毎日の生活に運動習慣を取り入れてみましょう。
肩こり解消に効果的な運動
肩こりの解消には、酸素を取り込みながら行う有酸素運動が適しています。有酸素運動を行うことで血流が促され、からだのすみずみまで酸素や栄養が循環しやすくなります。逆に、短距離走や筋トレなどの無酸素運動はあまりおすすめできません。ウォーキングや軽いジョギング、水泳、エアロビクス、ヨガなどから、楽しく続けられそうなものを見つけましょう。まずは、1日20分間、週に2〜3回、3ヵ月継続を目標にしてください。
首コリ解消におすすめの運動
首は、からだの中で重要な場所であると同時に、デリケートなところでもあります。肩こりの症状の陰には、首の不調が隠れているケースが少なくありません。特に日本人は欧米人と比べて骨格がきゃしゃなため、首の不調が多いとされています。
首の骨(頚椎、けいつい)を形成するのは、7個の骨です。その骨と骨の間には椎間板(ついかんばん)と呼ばれるクッションのような役割を果たす軟骨が存在し、椎間関節を作っています。首を自由に動かせるのは、この椎間板と椎間関節の働きがあるからです。また、首は、脊髄の通り道でもあり、全身の機能に関係しています。
しかし、椎間板と椎間関節は消耗しやすいのが弱点で、早くて20代から変性が始まるといわれています。この椎間板や椎間関節がすり減ったり、変形したりすると、全身にさまざまな問題を引き起こします。そのひとつが肩こりです。
ストレートネックによる肩と首のコリ
「ストレートネック」という言葉を耳にしたことはありませんか。ストレートネックとは、本来ゆるやかなS字カーブを描いているはずの頚椎が、首を前に出した姿勢を続けることで、文字どおり、まっすぐになってしまった状態です。スマホを操作するときに前かがみの姿勢になるため「スマホ首」とも呼ばれています。ストレートネックは、肩こりや首こり、頭痛などの原因になります。
ストレートネックに効く首まわりをほぐす運動
首すくめ運動
背筋を伸ばして、両肩をすくめるようにして持ち上げます。10秒ほどキープしたら、肩を落として一気に脱力します。
首まわし運動
肩の力を抜いて、首を「前傾→右→後傾→左」の順番でゆっくりと回します。左右10回ずつ行いましょう。
首を横に倒す運動
首をゆっくりと右に曲げて5〜10秒キープし、元に戻します。左右交互に2〜3回ほど繰り返してください。
首を前に倒す運動
首をゆっくりと前に倒します。首の後ろを伸ばして約10秒キープします。
薬物療法 – 肩こりに効く薬
ここでの薬物療法とは内服薬や外用薬、注射薬といった薬を使う治療法全般を指します。医療機関で肩こりの治療を行う場合、一部の例外を除いて、まず薬物療法から始めるのが基本です。状況に応じて、神経ブロック療法や理学療法などが加えられます。
肩こりで筋肉が緊張すると、発痛物質がたまって痛みを引き起こし、それがさらに肩こりの症状を悪化させるという悪循環に陥りがちです。鎮痛成分を含んだ内服薬や外用薬は、コリや痛みを初期の段階で抑えて、慢性的な肩こりの悪循環を防ぐ効果があります。
肩こりの治療に用いられる薬
非ステロイド系抗炎症薬 – 痛み止め
いわゆる「痛み止め」のことで、非ステロイド性抗炎症薬の総称です。痛みのもととなる体内物質プロスタグラジンの生成を阻害して、痛みの伝達をブロックします。飲み薬や貼り薬、座薬などがあります。
筋弛緩薬(きんしかんやく) – 筋肉のこわばりをとる
筋弛緩薬で筋肉の緊張を和らげるために処方される薬です。よく非ステロイド系抗炎症薬と一緒に処方されています。
ビタミンB – 神経の修復
肩こりによる末梢神経の修復を助ける働きがあります。
神経ブロック注射 – 痛み止め
神経やそのまわりに局所麻酔薬などを注入して、痛みの伝達をブロックする方法です。痛みやコリのある場所にピンポイントで作用します。薬の効果は一時的ですが、即効性があるので、慢性的な肩こりの悪循環を断ち切るのにも有効です。神経ブロック注射は、一般の診療科では行われていない場合が多く、主にペインクリニックでの治療になります。
日々のデスクワークやスマホの使いすぎにより、現代人は首や肩に大きな負担をかけています。何をやっても無駄だとあきらめずに、今回ご紹介した解消法をぜひ試してみてください。